東京高等裁判所 昭和27年(う)3862号 判決
被告人 ホワン・パパンコ
〔抄 録〕
論旨第一点。
被告人が所論のように嘗つて一度正式の外国人登録証明書を所持して我国に在留していたことがあつても、其の後不法入国者等退去強制手続令(同令廃止後は出入国管理令)によつて退去強制令書を発付されてその執行をうけ我国から強制退去させられた場合は、たとえその手続に不備があつたとしても同手続令の規定による不服の申立或は訴訟によつてこれが不備のある無効のものと確定しない以上はその退去強制は有効なものと認めるべきものであつて、一旦この措置によつて我国から退去せしめられた者が再び適法な手続によることなく我が国に入国した場合は外国人登録令第三条・第一二条に該当するものと解すべきものである。所論のように以前の外国人登録証明書によつて我国に在留する権限を依然有しているものと認められない。
而して原判決挙示の証拠によれば十分原判決認定の事実を認めうるのであつて、その他原審が取り調べた証拠に現われた事実によつては右認定を覆すには足らず、原審認定に誤があるものとは認められない。原判決には所論のような違法の存在するものではない。論旨は理由のないものである。